大人こそ知っておきたい中学公民学び直し

大人が中学公民を学びなおすためのサイトです。ニュースに出てくるような政治経済の難しい言葉のほとんどは中学公民を勉強すれば理解できます。大学で政治学や経済学などの社会科学系をやっていない人にも理解しやすいように作っておりますので、ゆっくりと自分のペースで読み進めてください!

(1.2.1)現代社会における文化

ここからは「2 現代社会の文化と私たち」という新しい単元です。

一つ目のテーマは「現代社会における文化」

 

文化とは何かという基本的な問いから、文化と科学技術・芸術・宗教といったものの関係性に関して解説していきます。

今私たちが当然のように浸っている文化はどのようにして作られたのかということを意識しながら読んでみてください!

 

 

 

「《文化とは何だろう》

私たちは日本語を話し、箸を使って食事をし挨拶でお辞儀をして、電車や自動車で移動中にテレビやインターネットで世の中のことを知り、家族の健康を気遣って暮らしています。文化とは職種を始め科学技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など人間が作り上げた生活の仕方や社会の仕組み物事に対する感じ方の全てをさしています。

 そして人間の集まりを世界として成り立たせているのは、歴史や伝統や地域の特徴に基づく、大勢の人間が互いの思いを伝え合うことによって出来上がった文化なのです。

 

《私たちの生活と科学・芸術・宗教》

人間は、歴史を通じて科学を発展させ、難しい問題をいつも技術の革新によって乗り越え、暮らしを豊かにしてきました。石器や金属の加工、農業・土木技術、医療などの進歩は人口を大きく増加させるほどの影響をもち、人類の活動領域を広げていきました。

 20世紀になると、科学技術は著しく進歩し、電力自動車・航空機・テレビ・石油化学・エレクトロニクス・宇宙開発技術などが、特に私たちの暮らしを豊かにしてきました。

 その一方で、科学技術は核兵器を生み出し、環境問題を引き起こしたように、使い方を誤ると人類の生存にさえ関わる問題を引き起こす可能性があります。

例えば、遺伝子操作で作られた農作物が、自然界や環境に与える影響には未知の部分があります。病気の予防治療や細胞の操作は、倫理に関わる問題も抱えています。

 芸術は、絵画や音楽、文学・演劇・映画など、日常を超えたイメージをもたらす体験を通して私たちの感受性を高め生活や人生を豊かなものにします。

 宗教は、人間の生活の悩みや将来に不安を抱く人々に対して、安心と精神的豊かさを与えてきました。国や民族によって信仰の対象やあり方には違いがあり世界の多様な文化を生む源泉となっています。世界では、宗教が日常生活や政治に大きな影響力を持っている地域もあり、争いの原因になっていることもあります。

 

 

今回は文化というテーマなのですが、この文化という言葉は非常に多岐的で定義が曖昧で抽象的で理解がしにくいものです。

何となく言っていることはわかるのですけれど、具体的に何を指しているかということに関しては人によって意見が分かれるのではないでしょうか。

 

 

 

 

一応辞書を引いてみます。

 

大辞林 第三版の解説

ぶんか【文化】

①  〔culture〕 社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体。言語・習俗・道徳・宗教、種々の制度などはその具体例。文化相対主義においては、それぞれの人間集団は個別の文化をもち、個別文化はそれぞれ独自の価値をもっており、その間に高低・優劣の差はないとされる。カルチャー。

 

 

デジタル大辞泉の解説

ぶん‐か〔‐クワ〕【文化】

1 人間の生活様式の全体。人類がみずからの手で築き上げてきた有形・無形の成果の総体。それぞれの民族・地域・社会に固有の文化があり、学習によって伝習されるとともに、相互の交流によって発展してきた。

 

百科事典マイペディアの解説

文化【ぶんか】

英・仏語culture,ドイツ語Kulturなどの訳。欧語はいずれもラテン語culturaに由来し,元来〈栽培・耕作〉の意をもつ。すなわち,動物のそれと区別されるところの,人間に固有な生活様式の総体をいい,しばしば自然に対比される。

 

 

 

 

こんな感じで、かなり様々な定義がされているのですけれど、教科書の本文にもある通り、人間が作り上げた生活の仕方や、社会の仕組み、物事に対する感じ方のすべてというのはかなりいいまとめ方だと思います。

 

また、 文化について考えるときに、文化のことだけを考えていても埒が明かない場合が多いです。

文化はその土地の地理的条件や風土、歴史と深く関わっているので、それらと関連付けて考えた方がより理解がしやすいです。

 

 

例えば、永久凍土があるような寒い国なら、度数の強いお酒を飲むとか、暖の取り方であったりとか、その土地ならではの文化がありますし、

日本やドイツのような悲惨な戦争を経験した国には武力行動に対する抵抗感があります。

アメリカのような多民族国家であれば、自分と人は違うという感覚が根強く存在します。

 

 

そう考えると、文化だけでなく社会科目全般として、地理だけ公民だけという感じで一つの科目だけを勉強するのは逆に難しくて、地理・歴史・公民を関連付けながらバランスよく勉強していく方が理解がしやすい上に、かえって効率が良くなったりします。

 

歴史の教科書とかでロシアの南下政策について習うと思うのですが、 どうしてロシアはあそこまで無理をしてアジアを攻める必要があったのか、と考えていくと、

ロシアの寒い気候であったり、永久凍土によって作物が育たないことであったり、冬になると港が凍ってしまうことであったり、そのように気候的に厳しいことが原因であったのではないかということを想像できます。

当時のロシアにとっては、冬になっても食料や生活に困らない状況を作っていくことが必要でした。

 

そこで、温暖な気候のアジア圏を自分の領土とすることで、一年中にわたって食料を確保し、国民の生活を安定させようとしました。

アジアに対する劣等視とかは後付けで、自国の安定を願ってのことだったと言えます。

 

 

また、その時に流れていたお金や働いていた政治的権力について考えていくと、公民の勉強にもなります。

どこかを深掘りしていくと、他の分野も必然的に学ぶことになっていきます。

 

 

 

 

 

かなり話が逸れてしまったので教科書の本文に戻ります。

科学技術の進歩という話も出てきました。

進歩によって便利になったことは間違いないですし、それについては読者の皆さんも異論はないと思います。

ただそれによって、今までは意識していなかったり、そもそも存在もしていなかった問題も発生しています。

 

核兵器や環境問題の話が教科書には載っていますが、 遺伝子操作で作られた農作物に関連して、クローン技術というものも存在します。

クローンとは、生物学において、同一の遺伝資質をもった個体群を指す用語で、現在では細胞や遺伝子についても一群のコピーをいう場合に用いられます。

 

1996年には、羊の成獣の乳腺から取り出した細胞を用いた、遺伝子が親と同一のクローン羊(〈ドリーDolly〉と命名)が英国で誕生しました。

SF小説では同様な手法で同じ遺伝組成をもつ複製人間をつくり、クローン人間などといわれているように、技術的には人間でも可能であるとされていて、 日本では2000年11月,特定の人間とまったく同じ遺伝情報をもったクローン人間を生み出すことを禁止した〈ヒトクローン技術規制法〉が成立しました。

 

全く同じ人間が二人存在するということに関して、もちろん人の意志によって人をつくったりつくらなかったりしていいのか、何をもって自分が自分であると考えればいいのか、といった倫理的な問題もあるのですが、法的にも問題があります。

 

例えば私のクローンを作ったとして、そのクローンは私から見てどういう関係に当たるでしょうか。

息子でもないし、弟でもないし、一体何なんだろう、と考えていくと、現在の法律の枠組みでは処理できない関係性であることがわかります。

もし仲良くなれたらそれはそれでいいのかもしれませんが、例えば遺産相続などの時にどういった割合で分配するのかということを、今存在する民法などの法律で決めることはできません。

技術の進歩に社会の制度が追いついていないのです。

 

また他の例で言えば、出産前に、子供の性別や、障害の有無などを調べることも技術的には可能ですし、実際にされています。

ただ、検査によって男の子だと分かったからといって「女の子が良かった」という理由で中絶することは許されるのか、障害があるなら産まないということは許されるのか、などといったことについては社会的な合意はできていません。

 

このように技術の進歩とともに、新たに考えなくてはいけなくなった問題もたくさん存在するのです。

 

また、技術の進歩とともに人々の感じ方や文化の在り方も変わってきます。

 

文化は人間が作り上げた生活の仕方や、社会の仕組み、物事に対する感じ方のすべてであるので、地域の特性を大切にするとともに科学技術や人々の思想・感性にも気を配らなければならないのです。