大人こそ知っておきたい中学公民学び直し

大人が中学公民を学びなおすためのサイトです。ニュースに出てくるような政治経済の難しい言葉のほとんどは中学公民を勉強すれば理解できます。大学で政治学や経済学などの社会科学系をやっていない人にも理解しやすいように作っておりますので、ゆっくりと自分のペースで読み進めてください!

(1.3.4)決まりを守る責任とその評価

今回はきまりを守る責任とその評価というテーマです。

揉め事や紛争を解決するためにはルールが必要です。

そのルールはどのようにしてできたもので、なぜ守る必要があるのでしょうか。

ルールは何を以って正当性を持つのでしょうか。

一緒に学習しましょう!

 

 

 

「《決まりを守る責任》

これまでの学習で、対立を解消するための判断基準として効率と公正があり、その判断基準を踏まえて解決策を受け入れ合意していく努力をすることの大切さについて学びました。また解決策をきまりとして前もって作り、共有することで、トラブルを未然に防ぎやすくなり、対立を調整することが可能になります。このようにして作られた決まりは、私たちが受け入れた限りにおいてはそれを守っていく責任があります。

 

《決まりの評価と変更》

決まりを作る時には、互いの権利や義務を考慮する必要があります。また、決まりを守っていくことは重要ですが、状況が変われば決まりの変更が必要になる時もあります。なぜなら、そうした方が互いの権利や利益を守ることになり、よりよく生活することができる場合があるからです。きまりを評価し変更する際には、以下の五つの視点から考えることができます。

・きまりの目的は何かその目的は理にかなっているのか

・その目的を実現するために適切な手段となっているのか

・きまりは誰にでも同じように理解できるものになっているのか

・立場を変えても受け入れられるものになっているのか

・決まりを作る過程に関係する人は全て参加しているのか

 これらの視点を用いて決まりを評価し変更していくことは、互いが納得しあっての変更ですから、互いが決まりを守る意識を高めることになるでしょう。そして、一度作った決まりでも、本当に互いの利益を尊重するものなのか確認し、常に見直していく態度も必要です。このように、互いの権利や利益を尊重し、それが保障されている決まりを作ることを契約と言います。契約は、私たちが互いの利益をもたらすように納得した上で結ぶ約束です。契約は、個人と企業が結ぶ労働契約など、社会の様々な場面で結ばれています。国家も、国民が互いの存在や生き方を尊重し合うことを約束し、必要な政府をつくるという契約によって成立しているとみなすこともできます(社会契約)。」

 

 

 

トラブルを解決するためには、あらかじめルールを作っておくことが大切だという話でした。

これは当然といえば当然のことで、トラブルが起こってからルールを作るのでは、どうしてもルールを作る人の恣意性(わがまま)が入ってしまいます

 

トラブルが起こった時に、誰がどのように解決策を考えるかで、結果がかなり変わってしまうということが起こります。

 

 

少し関連した話ですが、昔の王様や大名の仕事は主に紛争解決でした。

誰誰がお金を返してくれないとか、誰誰が自分の土地に入ってくるとか、そういったことがあった時に、王様に判断を伺ったのです。

そして、王様が悪いことをした人への罰や、被害をこうむった人への支援をどのようにするかを判断し、部下に命令していました。

 

このやり方で行くと、王様が頭も性格もよければ問題はないのですが、王様が自分の近い人をひいきしたり、その日の気分によって罰の重さを変えたりすると、民衆にとっては不満が溜まってしまうことになります。

 

そこで、憲法や法律といった形で予め文章にしておくことで、みんなにとって判断基準が理解できるものとなり、不公平感を解消していくことができます。

 

また、王様一人の判断に頼るとどうしても偏りが出てしまうので、裁判所などという形で紛争解決の専門の機関を作りました。

 

現代の日本で言うならば、刑法などの形で、どれくらい悪いことをしたらどれくらいの罰金や懲役刑があるのかということが法律に書いてあります。

 

参考:

刑法 第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第二百三十五条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

 

 

もちろん個別の事情によって減刑などの措置はありますが、大まかには法律に書いてある通りの判決が出ます。

 

 

この他にもたくさんの法律がありますが、それらはすべてトラブルが起こるよりも前に法律が完成しています。ルールを事前に作っておくことが大切なのです。

 

またルールには必ず目的があります。

刑法の場合であれば、犯罪の成立要件やそれらに対する刑罰をあらかじめ決めておくこと、そしてそれによって犯罪を抑止することなどが挙げられるでしょう。

 

全ての法律には目的があるので、何のために作ったルールなのかを考えてみるのも面白いかもしれません。

 

 

もうひとつ大切なことは、本文にもある通りルールを受け入れた以上はそれを守る責任があるということです。

 

国の法律であれば、基本的に国民全員がその法律を守る責任があります。

 

その根拠としては、国民が選んだ国会議員が議会を作り、その議会で法律案が成立するので、法律とは間接的に「国民が決めたルール」だから、国民が守る必要がある、ということがよく述べられます。

 

中には納得いかない人もいるでしょうが、理屈的にはそれなりに筋が通っています。

 

法律のことと言うと難しく感じてしまいますが、すごくシンプルに考えると「みんなで決めたルールをみんなで守る」と言っているに過ぎません。

政治の理屈は意外とシンプルなのです。

 

 

 

これは法律でなくても同じで、例えば学校の校則や家族ルールなども、紛争解決のためのルールの一種であります。

 

門限は6時というルールを家族で作ったとしたら、それを守る必要があります。

特段の事情があるのであればそれを説明する必要がありますし、そもそも門限は6時というルール自体に納得できないのであれば、ルールを変えるように家族に働きかけるのが筋です。

 

ルールを変えるにしても、なぜそのルールは存在するのか、その目的は何なのかということを考えれば解決策が見つけやすくなるでしょう。

 

例えば、安全性を考えてのことであれば、早く帰る以外の安全を確保する方法を考えるということも解決策の一つになるかもしれません。

ただ単に家族を縛り付けたいだけのルールであれば、全力で抵抗する必要があるのかもしれません。

どういった経緯でどういった目的でそのルールが存在するのかを知ることが、問題解決にあたって重要な視点の一つになります。

 

 

もしかすると状況に応じてルールを変える必要があるかもしれません。

子どもが小学生の時は門限が6時だったけど、中学生になったら8時になるかもしれません。

それは子供が成長してきたことや、部活や塾などで帰りが遅くなることもあること、友達と過ごす時間を増やすことなど様々な理由が考えられるでしょう。

 

そのようにルールを変更する時の視点は本文でも触れられていましたが、

 

・目的の正当性

・手段の妥当性

・理解可能なシステムか

・立場を変えても受け入れられるか

・ルールづくりのプロセスが正当か

 

といったようなことが考えられます。

 

特にルールづくりのプロセスの正当性ということに関してはすごく重要です。

感覚的に考えてもわかると思いますが、自分が知らない間にできたルールに従うことにはすごく抵抗があります。

反対に、自分もルール作りに参加したルールであれば、守らなければいけないという気持ちが高まります。

 

家族ルールにしても何にしても、どのようなプロセスで作られたルールなのかが分かることによって、そのルールの信頼性は上昇するのです。

 

 

 

 

また、本文には契約という言葉も出てきました。

契約とは,互いに対立する複数の行為主体の意思表示の一致(合意)によって成立する行為で、要するに約束を交わすことです。

 

売買契約、雇用契約など、日常的に使う言葉でもあります。

 

債権や債務などの難しい話はまた今度するとして、 契約を交わすとそれを守る義務が発生します。

 

売買契約などは分かりやすいと思います。

売買契約が結ばれれば、お客さんはお金を払う義務がありますし、お店は商品を渡す義務があります。

もしもお金を払って商品が手に入らないとか、商品を渡したのにお金を払ってもらえないとか、そういうことが頻繁に起こるのであれば、安心して商売をするもできません。

 

 

 

守れない約束に意味はなくて、約束を守れるという信頼感があることで世の中はスムーズに進みます。

契約というシステムによって、あらゆる行為の実行性(予定した行為が実際になされる)を保障しているのです。

 

 

契約関係のルールは主に民法で定められています。

 

民法とは、個人間の財産上・身分上の関係など、市民相互の関係について規定する私法の一般法で、1044条まである莫大な法律です。

 

例えば民法第555条には、

「売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」

と書かれています。

 

 

小難しく書かれていますが、結局は、「売買行為をする時は、一方は商品を渡して一方はお金を払う」ということが書かれています。

 

 

 

 

最後には社会契約説についても触れられていました。

社会契約説とは、 社会・国家形成の原理を、自由で平等な個人間の契約、あるいは人民と主権者の契約によるものである、とする学説なのですが、これはかなり込み入った話になるのでまたの機会とします。

 

今回はルールを守ることとルールを変更することなどを学びました。

公民の勉強としてだけでなく、広く社会一般的に示唆のある内容になっていると思いますので、しっかりと読み込んでいただけると幸いです。