大人こそ知っておきたい中学公民学び直し

大人が中学公民を学びなおすためのサイトです。ニュースに出てくるような政治経済の難しい言葉のほとんどは中学公民を勉強すれば理解できます。大学で政治学や経済学などの社会科学系をやっていない人にも理解しやすいように作っておりますので、ゆっくりと自分のペースで読み進めてください!

(2.0.0.0)暮らしの中から政治を考えよう

ここからは「第二編 私たちの生活と政治」に入っていきます。

日本国憲法のことや民主主義のことなど、かなり基礎的なことから丁寧に学習していきます。

このページでは、そもそも何のために政治の学習をするのかというところからお話していきます。

そして今後の学習が理解しやすくなるように基本的な視点を身に付けることが目標です。

それでは、進めていきましょう!

 

 

「《政治の学習って何をするの》

秩序がない社会はどんな社会でしょうか。想像しただけで、私たちの身体・生命や財産が危険にさらされてしまい、安心して幸せな暮らしなど望めないことが分かります。私たちの安全で幸福な生活を維持するには、社会に秩序が必要です。

 私たちの社会に秩序を与える働きを政治と言います。その政治が人々の自由を制限し、人々の生活を必要を超えてあれこれ規制することによって、秩序を守ろうとすることもあります。

 憲法・政治の単元では、まず政治の力は社会の秩序を維持することもあるし、人々の自由を侵害することもあることを学習します。そして、私たちの自由を守るために、政治の力をどのような仕組みにしていくべきかを考えていきます。政治の仕組みを文書の形にしたものが憲法です。憲法は、私たちの安全で幸福な日々の生活を支える法の世界の頂点にあります。以上のことを踏まえて、ここでは個人・自由・社会・国家・政治・法がどのように関わるかを学んでいきます。」

 

 

ここからは政治について学習していきます。

社会には秩序が必要だというのは本文にある通りで、もし秩序がなければ世界は戦争状態になってしまいます。

人々がやりたい放題やって、暴力 OK 、強奪 OK ということになれば、私たちはまともに生活できません。

殺されるかもしれない、お金を奪われるかもしれないということを常に心配していなければならないような世の中では、とても幸せとは言えないでしょう。

 

そのために必要なのが政治です。

 

 

政治という言葉の定義は曖昧で分かりにくいものがありますが、教科書の文脈から言えば、ここで言う政治とは、国家の在り方を決め、国を治めていくことに主眼が置かれているでしょう。

 

そして国家のあり方を決め文章の形にしたものが憲法であるということが述べられています。

 

今回以降、しばらく憲法の話をしていきます。

憲法は国の基本的な統治のあり方を決めるものです。

そして、法の世界の中で一番強い影響力を持ったものでもあります。

総理大臣や大統領であっても、自分の一存で憲法を改正することはできません。

また、国の法律や都道府県の条例なども、憲法に反する内容を定めることはできません。

 

例えば日本国憲法第14条には、

 

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」

 

と書いてあるので、「在日外国人を差別しよう」みたいな法律を作ることはできません。

 

憲法は、国民を従わせるというよりは、国家権力のあり方を規定するもの、という側面が強いです。

 

憲法について理解を深めることで、ニュースで話題になるような、集団的自衛権の問題や障害者雇用の問題、医療や福祉の問題、待機児童の問題なども理解がしやすくなります。

 

 

ところで政治と言うと、国会や国会議員などを連想する方も多いかと思いますが、それは少し違います。

 

一言に政治と言っても、政治という言葉の定義はとても曖昧で掴みづらいものではあります。

一応複数の辞書を確認しておきましょう。

 

デジタル大辞泉の解説

せい‐じ〔‐ヂ〕【政治】

1 主権者が、領土・人民を治めること。まつりごと。

2 ある社会の対立や利害を調整して社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用。

 

 

大辞林 第三版の解説

せいじ【政治】

①  統治者・為政者が民に施す施策。まつりごと。

②  国家およびその権力作用にかかわる人間の諸活動。広義には、諸権力・諸集団の間に生じる利害の対立などを調整することにもいう。

 

 

精選版 日本国語大辞典の解説

せい‐じ ‥ヂ【政治】

〘名〙

① 国を治めること。近代では、主権者が立法、司法、行政などの諸機関を通じて国家的統一を維持し、国民の共同生活を守ること。政事。まつりごと。

地蔵菩薩霊験記(16C後)二「商売も彼の国の市に立まくぞ思いける政治(セイチ)三十年の間」

当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉九「大に政治(セイヂ)の改良でも、おこなはふといふ志で居りながら」 〔書経‐畢命〕

② 会社、労働組合、学校などの社会集団で、意見の相違や利害の対立などを調整することについてもいう。

 

 

様々な定義が出てきましたが、大きく分類すると、

・国家の統治に関わること

・社会集団の利害を調整すること

 

という意味合いがありそうです。

どちらの意味においても、人々がわがまま勝手に行動するのではなくて、一定のルールに従って行動規制を加えることで秩序を作り出すということは共通しています。

 

先ほども少し触れたように、教科書の文脈から言えば国家の統治に関わる政治という意味合いが強いですが、社会集団の利害調整という意味合いについても少し触れておきます。

 

ここで言う社会集団とは、特に何か具体的なものを指しているのではなくて、家族・学校・会社・ご近所付き合いなど、人が複数集まって何かをする状況を大まかに表しています。

 

対立と合意のページでも述べましたが、人が複数集まれば必ず意見の相違が生まれます。

そんな時に誰の意見を取り入れるか、どのアイディアをどのくらい取り入れるかを決める時に、政治の力が働きます。

 

イーストンという学者によれば、政治とは、「希少価値の権威的配分」であるといいます。

希少価値とは、お金や地位や名声といった抽象的なものから、食べ物や石油などのエネルギー源などと言った物質的なものも含めて、社会の中で総量が限られていて、人々が欲しがってはいても全ての人に行き渡ることはないものを指しています。

 

その希少価値をどのように分配するのかを決める働きが政治であるというのです。

 

これはすごくわかりやすい定義で、 政治とは結局パワーゲームであるということがよく表されていると思います。

 

日本の国家予算として集められた税金を、教育に使うか、社会保障に使うか……などというのは、まさにこの配分をめぐる争いで、その政策を推し進める政治家の発言力や、その政治家を支持する有権者の数などがパワーになります。

 

「政治=国会」「政治は汚い」というようなイメージはここからきているのでしょう。

 

日常的な場面においても、「社内政治」などという言葉に代表されるように、限られた資源をどのように分配するのか、それを決める権限は誰にあるのか、誰の味方をすれば自分も恩恵を受けられるのかということを考えながら立ち回ることが必要とされます。

 

様々な思惑が渦巻く中で、自分が少しでもメリットを受けられる決定をするため、またその決定に出来る限り自分の意見が取り入れられるようにするため、国会だけではなく、日常のあらゆる場面で”政治”は行われているのです。