大人こそ知っておきたい中学公民学び直し

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(2.1.1.3)日本国憲法の制定と三つの基本原則

 

 

次のテーマは「日本国憲法の制定と三つの基本原理」です。

今回は日本国憲法が制定されるに至った背景や憲法の主軸となる原則について学習していきます。

まずは、憲法の掲げる理想や趣旨をしっかりと押さえましょう。

そのうえで、現代の政治の何が問題なのかを考えてみましょう。

 

 

 

 

「《大日本帝国憲法

1889年に制定された大日本帝国憲法は、日本で最初の立憲主義憲法です。天皇憲法により統治権を行使するとされ、信仰の自由などの権利や権力分立も定められていました。また、大正デモクラシーの時期には、議会で多数を占める政党が内閣を作ることもありました。

 大日本帝国憲法においては、主権が天皇にあると考えられていました(天皇主権)。憲法が定める権利は、天皇が与える臣民の権利であり、法律の範囲内で保障されるに止まりました。また、議会や内閣の役割も限定されていたために、やがて軍部の暴走を抑えられなくなり、日本は第二次世界対戦への道を歩むことになりました。

 

日本国憲法の制定》

1945年8月、日本は、ポツダム宣言を受け入れて連合軍に降伏しました。ポツダム宣言には、軍国主義を取り除くこと、民主主義を強化すること、基本的人権を尊重することなど、日本が取るべき政治の方針が示されていました。そのため、大日本帝国憲法を根本的に改めることが求められていました。

 政府は、連合国軍総司令部(GHQ)が示した答案に基づいて憲法改正草案を作りました。この憲法改正案は、戦後初めて行われた男女普通選挙の後議会で審議され、一部修正の上可決されました。そして、1946年11月3日に日本国憲法として交付され1947年5月3日から施行されました。このように、日本国憲法大日本帝国憲法を改正する手続きにより成立しましたが、天皇主権を否定し国民主権を基礎とする全く新しい憲法です。

 

《世界とつながる三つの基本原則》

日本国憲法の前文には、この憲法が制定された理由や目的が書かれています。それによると、日本国憲法国民主権基本的人権の尊重・平和主義の三つの基本原則から成り立っていることがわかります。

 これらの基本原則は、世界の人々が自由を求め、立憲主義を確立するために多年にわたり積み重ねてきた努力の成果であり、また二度の世界対戦の悲惨な結末に対する深い反省に基づいています。三つの基本原則は、人類にとって普遍的なものであり、これらの思想を実現することが国際社会において日本が果たすべき責務であることを日本国憲法は示しています。

 

 

 

日本国憲法の話をする前に、大日本帝国憲法の話を先にしておきます。

大日本帝国憲法が制定されたのは明治時代です。 明治憲法と呼ばれることもあります。

プロイセン憲法を参考に伊藤博文井上毅らが起草し、枢密院で可決され、1889年(明治22)2月11日、明治天皇によって制定・公布された欽定憲法です。

欽定憲法とは、君主主権に基づき君主がもっぱら自己の意思によって制定した憲法のことです。1814年のルイ 18世によるフランス憲法などもその例です。

 

三権分立の原則,臣民の権利・自由の保障を一応とり入れましたが,「万世一系・神聖不可侵の天皇」が統治権を掌握する天皇主権を原則としました。

 

条文も少し見ておきましょう

 

大日本帝国憲法

第一条 大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス

第四条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ

第二二条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有ス

第二三条 日本臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問処罰ヲ受クルコトナシ

 

 

ここでは日本国民は臣民と呼ばれていて、権利の保障についても書いてはあるのですが、「法律の範囲内において」「法律によることなしに」 という文言が何度も出てきます。

 

学問的には法律の留保という言葉で説明されますが、 法律の留保は、行政権の発動は法律の根拠に基づかなければならないという意味でありながら、第2の意味では、権利を保障する憲法において、その権利が法律によれば制限・侵害されるとの定めがなされる場合において、権利保障が法律上のものでしかないことを意味します。

 

小難しく言いましたが、要するに法律にさえ従っていれば権利侵害をすることがあっても仕方がないという理屈です。

なので法律に人権侵害的な面があってもその法律に従わなければならず、この法律おかしいんじゃないかと思っても、臣民は抵抗できないということです。

 

治安維持法などはその最たる例で、1925年(大正14)制定の治安維持法は国体の変革、私有財産制度の否定を目的とする結社の組織者と参加者を処罰する内容の法律です。

 

当初の目的は、普通選挙法と日ソ国交樹立に対応して共産主義者の活動を取り締まることにだったのですが、次第に反政府・反国策的な思想や言論の自由の抑圧の手段として利用されました。

 

結局のところ治安維持法は、政府に反対するような思想や発言を取り締まり、国民の自由を抑圧する法律となってしまいました。

この辺りの事に関しては歴史の教科書に詳しく載っていると思います。

 

 

 

 

そして一番問題なのは、第4条の天皇統治権を総攬」というところです。

総攬とは、統合して一手に掌握すること、掌握して治めることです。

 

三権分立の規定は一応存在して、国家の統治権は立法・司法・行政に分かれているのですが、天皇統治権を総攬してしまうと、分立した意味がなくなってしまいます。

国民が選んだ国会議員が法律を作っても、さらにその上に天皇がいるので、結局は前のページで説明した法の支配の形になっていないのです。

 

そして、その天皇も結局はお飾りに過ぎずやがて軍部の暴走を止められなくなっていきます。

軍部が天皇に働きかけ、その天皇が三権すべてを掌握できるので、結局は軍部の思い通りに国全体が動いてしまい、戦争につながっていくこととなりました。

 

 

 

 

 

 

ここからやっと日本国憲法の話に入っていきます。

日本国憲法の前文では、

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。(後略)」

 

と書かれていて、主権は国民にあることがはっきりと述べられています。

 

 

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

第11条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。

 

 

 

 

9条や11条からも平和主義基本的人権の尊重を掲げていることがわかります。

 

ニュースなどでよく話題になるのは憲法9条と自衛隊の関係性ですね。

自衛隊は「陸海空軍その他の戦力」に該当するのかどうかというのが主な争点です。

 

この点に関しては何度も話題にはなりますが結論は出ていません。

 

また、自衛隊憲法違反かどうかという問題は少し置いておいて、実際問題として震災などのアクシデントがあった時に自衛隊がとても頼りになると言う事実はあります。

憲法解釈的にどうかという問題ではなく実際に必要だからいてくれた方がいいという議論です。

 

このような議論に関して皆さんはどう考えますか?

 

noteでは、よりマニアックなテーマで書いています。お時間あれば是非お願いします。

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