大人こそ知っておきたい中学公民学び直し

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(2.1.2.8)広がる人権保障

ここまでは自由権参政権社会権といった憲法で保障された権利について見てきましたが、
今回は前節に引き続き、「憲法には書いていないけれど必要であろうと思われる権利」について考えていきます。



《環境権》
1950年代後半からのわが国の高度経済成長は、人々の生活を豊かにしましたが、 同時に公害や自然破壊などの社会問題を生み出しました。
大気汚染や水質の悪化などで健康に被害が出たり、無秩序なビルの建設によって景観や日照がさえぎられたり、乱開発によって自然が破壊されたりしました。
そこで、人間らしい生活環境を求める権利として、 環境権が主張されるようになりました。
環境権を実現するには、国が環境の保全や改善に積極的に取り組む必要があります。
環境基本法では,「環境にやさしい」社会をつ くるために、国や地方公共団体,、事業者が果たすべき役割が定められています。
環境は、一度破壊されてしまうともとにもどすのは困難です。道路やダムなどの開発事業を行うときには、自然にどのような影響があるかを調査(環境アセスメント)してから決定すること や、 地球温暖化防止のため二酸化炭素の排出量を規制したりするなど、環境を保護していく政策が必要です。
また、限りある資源を有効に使う循環型社会を形成することも国や地方公共団体の重要な役割です。
さらに、多様な生物を保全していく取り組みも求められています。環境を守りながら経済が発展する持続可能な社会をめざして,、地球規模で行われている取り組みに、わが国も積極的に参加しています。

《人権保障の国際的広がり》
社会が変化して、人・もの・情報が国境をこえるようになると、人権の保障は一つの国の課題ではなくなってきました。
1948年に国際連合総会において採択された世界人権宣言は、達成すべき共通の人権保障の水準を掲げ、それを実現するために,、1966年に国際人権規約が採択されました。
人種差別撤廃条約, 難民条約, 女子差別撤廃条約, 児童子どもの権利条約などの採択を含めて、 人権を国際的に保護する活動は,現在,国連の重要な役割です。
国際社会には今のところ,、人権を侵害された個人が訴えるための裁判所はありません。しかし、国連の人権理事会が、加盟国の人権状況を審査したり、人権問題に取り組むなど、人権の保障やその促進に取り組んでいます。
こうした活動には、国境なき医師団アムネスティ・インターナ ショナルなどのNGO(非政府組織)や、弁護士会などの民間組織の役割が欠かせません。」

 

 

 

 

早速解説を始めていきます。
今回は人権保障の広がりについてです。

 

自由権社会権といった基本的人権だけでなく人々が幸福に生きていく権利として環境権などの新しい権利にまで考えを広げていきます。

 

環境権とは、人間らしい生活環境を求める権利のことを言います。

 

高度経済成長の時代に大きな社会問題となった公害や大気汚染水質汚染といった環境の悪化から身を守り、快適な環境で生活する権利というものが主張されるようになりました。

 

これも前のページと同じく憲法13条の幸福追求権を根拠として主張されることが多いです。

 

憲法十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

 


水俣病イタイイタイ病四日市ぜんそく新潟水俣病といった4大公害などは歴史の教科書でも習うと思います。
これらはかなり大規模な環境破壊がされた例ですが、大小合わせ様々な環境問題が日本中で起こっています。

 


例えば、日照権という言葉があります。
日照権とは読んで字のごとく太陽の光を浴びる権利のことですが、これは高層ビルが乱立するようになった頃から主張されるようになった権利です。
高層ビルの影になって太陽の光が当たらない家が出てくるようになってきたからです。

 


このように環境権と一口に言っても、生命に重大な影響を与えるような公害から、地球温暖化につながるような自然破壊・大気汚染や水質汚染・土壌汚染と言った自然の汚染問題、また景観の悪化に関わることや日照時間の問題、さらにはアメニティの問題などもあります。

 

そういった幅広い意味での環境を維持していく権利、快適な場所で生活をする権利というものが主張されるようになりました。

 

 

 

ちなみにアメニティ(amenity)とは、日本語に無い概念なので説明が難しいですが、人間が建物・場所・気候・風土などの環境の質に対して感じる、快適さや好ましさに関する総合的概念のことです。

 

環境におけるある特定の現象をさしているのではなくて、人々が望むような快適で魅力のある生活環境の総体を指す言葉です。
「街の住み心地が良い」とか、「なんとなく落ち着く」といったようなことを総合的にとらえた言葉です。

 


このような外来語に関しては英英辞典の方がかえってわかりやすいかもしれません。

 

amenity...something that makes a place comfortable or easy to live in(ロングマン現代英英辞典)
(ある場所を快適で住みやすくする何か)

 


高度経済成長の頃に痛いほど実感したと思いますが、経済成長を優先して環境破壊を顧みずにバンバン石油を燃やしたりとかをしていると環境は悪化します。

市場原理に任せておくと環境破壊はもう本当に手遅れになってからしか止められないのです。


この辺りの経済学的な分析などは後々解説していきます。

市場に任せておくと環境破壊は止まらないので政府が法的・政策的な対応をする必要があります。

 


例えば、 大気汚染防止法だったり水質汚濁防止法だったりといった形で法的に有害物質の排出量を規制するという方法があります。

 

他にも細かい例で言えばレジ袋を有料にしてレジ袋を使わずにマイバッグを持ってきた方が得になるような仕組みを作ったり、
もうちょっと大きな例で言えば道路やダムなどの大規模な開発事業を行うときには、
その建設によって自然環境にどのような影響があるかを調査する環境アセスメントというものが義務付けられたりしました。

 

このように、市場に任せておくと悪い方向に行ってしまいそうな事柄に関しては、政府が税金を使って軌道修正をさせる正当な権限があります

 


本文では人権保障の国際的広がりについても触れられていました。

 

グローバル化のところでも説明しましたが、現在は本当に人や物や情報が簡単に国境を越えるので、人権問題も一国の問題というわけではなくなりました。

 

人権感覚もグローバル化していて、世界で共通の守るべきラインというものが設定されるようになりました。

 

世界人権宣言や国際人権規約というのは中学生のテストとかにはよく出てきますね。

僕個人の感覚としてはそれほど生活の中で意識することはないのですが、一応解説だけしておきます。
(意識しなくてもいいくらい恵まれた暮らしをしているということなのでしょうね)

 


世界人権宣言とは、1948年 12月10日、国際連合第3回総会で採択された宣言で、
法のもとの平等、身体の安全、思想・良心・宗教の自由、表現の自由、集会・結社の自由、生存権などが、全国家人民の「達成すべき共通の基準」であることがうたわれています。

国連で採択されたものなので一定の影響力はありますが条約とは異なり加盟国に対して法的に拘束力を持つことはないので人権保障の件では少し問題がありました。

 

国際人権規約とは、 基本的人権を国際的に保護するための条約で、1966年の国連総会で採択されました。


世界人権宣言を補強するもので、締結国に対して法的拘束力をもちます。(違反するとペナルティがあります)


社会権規約(経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約)、自由権規約(市民的、政治的権利に関する国際規約)に関する二つの選択議定書からなります。

社会権規約国際人権A規約自由権規約国際人権B規約とも呼びますが、B規約の第二選択議定書は死刑制度の廃止について規定したものであって日本やアメリカなどは自国の司法権の独立に影響が及ぶ可能性があるなどの理由から B規約については批准していません。

 

 

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